Q.乳牛の市場等で、牛ウイルス性下痢、粘膜病(BVD-MD)のワクチン接種が必要になるといわれています。「BVD-MD」とは、どんな病気ですか?
A.「BVD-MD」とは、牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)の感染により発生する届出伝染病のことを言います。
病名には、「下痢」とつくのですが、実際は、子牛から成牛まで年齢には関係なく発熱・下痢・呼吸器症状など、さまざまな症状を引き起こします。
妊娠牛は特に注意
最も注意したいのは、「妊娠牛が感染した場合」です。
胎盤を通じて胎仔に感染し、流産や子牛が奇形になる。
生まれた子牛がウイルスを排出し続ける持続感染牛(PI牛)になる。
この2つの可能性があります。
予防が重要だ!
PI牛の多くは、外見上の異常がない、あるいは若干の発育不良を示す程度で、臨床的に発見することは、なかなか困難です。
PI牛の体内では、常にウイルスが増殖し続け、糞便や尿・乳汁・唾液・鼻汁中に多量のウイルスが排泄され、強力な感染源となります。知らず知らずのうちに、牛群にウイルスが蔓延してしまうため、「BVD-MD」の発生の多くは、子牛の肺炎や発育不良、または流産の多発で明らかとなるケースがほとんどで、経済的損失が大きいため、予防が重要となります。
どうすればいいの?
この病気の対策は、感染源であるPI牛の早期摘発・淘汰が基本となります。
なお、牛群中のPI牛を調べる方法がいくつかありますので、獣医師にご相談ください。
導入牛は、健康状態をよく確認し、健康を確認してから牛群に混ぜましょう。
ワクチンで防ごう
この病気は、ワクチン接種で予防が可能です。
ワクチンには、生ワクチンと不活化ワクチンがあります。
生ワクチンは一回接種で効果がありますが、妊娠牛には使えません。不活化ワクチンは妊娠牛にも使えますが、一回接種しただけでは効果が不十分です。また、ワクチンは接種してから効果が出るまで時間がかかるので、移動の直前に接種するのは止めましょう。
普段から牛の健康観察を心がけ、子牛の発育不良、持続する下痢、流産の多発が認められた場合、直ちに獣医師に連絡してください。
胎仔の感染時期と症状
1.胎齢100日以前
流産(ミイラ胎仔など)
持続感染牛(PI牛)
2.胎齢100~150日
先天異常
(水頭症、小脳形成不全、盲目、運動障害等)
3.胎齢150日以降
健康仔牛として出生