2012年10月1日
近年、子牛の下痢症の原因としてクリプトスポリジウムのまん延が確認されています。
クリプトスポリジウム症は人獣共通伝染病であり、水道水などを介して人に集団感染し、下痢の原因となります。また、牛の糞を介して人に感染するので注意が必要です。
感染
原虫のオーシスト(卵のようなもので、この中に感染体であるスポロゾイトが4個形成されている)を経口摂取して感染する。(世界的に分布)

(主にCryptosporidium parvum)

クリプトスポリジウム

疫学
生後1か月齢以下の子牛で高率に感染する。発生農場では継続して感染が見られる。
症状
- 主な症状は水様性又は粘液様下痢が1週間程度継続する。
- 下痢便は灰白色又は黄色、時には粘膜を含むため
- 食欲減退、発熱、元気喪失、脱水、発育不良が見られる。
- 成牛は発病しない。
- ロタウイルス、コロナウイルス、大腸菌などの混合感染に
より病勢は増悪する。

治療
安全で効果的な治療薬はない。
下痢による脱水を防ぐため、補液による対症療法と整腸剤の投与が有効。
対 策
- 成牛からの感染を防ぐため、長靴やスコップなどの道具は子牛専用とする。
- カーフハッチ、子牛ペンなどを定期的に熱湯や石灰で消毒する。トライキルと消石灰の混合液が有効(消石灰は10%溶液になるように、水1Lにトライキル約1.25ml、消石灰100gを混合)
- 糞便による環境汚染を防ぐため、適切な堆肥化により(60℃以上の発熱)、オーシストを死滅させる。
- 人への感染を防ぐため、管理作業は専用の服や靴で行い、作業後は手指の洗浄・うがいを行う。
最終更新日:2019年2月5日