暑熱ストレスによるエンドトキシン(毒素)の吸収

大腸菌の乳房炎は大腸菌が乳頭口から侵入して、菌から出るエンドトキシン(毒素)が激烈な症状を引き起こし、時には死廃につながることは、酪農家の皆さんは十分承知していると思います。

エンドトキシン

大腸菌は牛の消化管内に多く存在しており、消化管内では常にエンドトキシンが出ています。

栄養素は吸収されますが、エンドトキシンは消化管の粘膜バリアーにより吸収されることなく、糞便中に排泄されています。

暑熱によるエンドトキシンの吸収

近年では、消化管粘膜バリアーの機能を低下させる阻害剤を注入し、血液中のエンドトキシンの増加や使用摂取量の減少が観察された研究や、乳牛やブタを暑熱環境に置き血液中のエンドトキシンの増加、ブドウ糖の消費の増加が観察された研究などがあります。

これらの研究により、暑熱ストレスが原因で、消化管粘膜バリアーが十分に機能しなくなり、エンドトキシンや菌が血液中へ吸収されてしまう事が分かってきました。

エンドトキシンによる障害

吸収されたエンドトキシンが肝臓での処理能力を超える量になった場合に、次に書かれる様なことが発生してきます。

体内に吸収されたエンドトキシンは全身的に炎症状態を作り出し、炎症状態により免疫機能が活性化し多くのブドウ糖が消費されます。

そのため、乳腺上皮細胞へのブドウ糖の供給が制限され、使用摂取量の低下以上の乳量の低下を招き、体重の減少が激しくなります。

繁殖障害

繁殖ではLHパルスが減少し、卵胞の維持や発育が困難になり卵巣静止になります。

子宮では炎症により受精卵の着床が阻害され、妊娠率が低下します。

暑熱によるアシドーシス

暑熱ストレスは2次的に粗飼料の喰いを低下させ、ルーメンの繊維不足によるルーメンアシドーシスや未消化の穀類を大量に大腸に流入させることで大腸アシドーシスの吸収を増加させます。

最後に…

暑熱ストレスは過小評価されていたかも知れませんが、実際には想像以上に酪農経営に経済的な損失を与えています。

すでに涼しい季節になりましたが、暑熱ストレス軽減のための効率的な暑熱対策を、もう一度考えてみましょう。

最終更新日:2020年6月25日