分娩前後と免疫について

初乳の話をする前に

分娩前後に免疫細胞(白血球)の機能が低下することが、多くの研究で明らかになっています。
今回は、乳房炎や繁殖成績に影響する、免疫低下についての紹介をします。

血中のカルシシウムイオン濃度が重要

分娩後の低カルシウム血症

①分娩後の低カルシウム血症は食欲の低下、ストレス物質(コルチゾール)の増加、免疫細胞内のカルシウムイオン濃度の低下により、免疫機能が抑制される。

②分娩後の胎盤停滞・乳房炎を起こしやすくなる

③子宮回復を促す悪露排除には子宮の収縮と免疫細胞による分解が重要で、その後の繁殖成績を左右する。

④分娩前から発症する低カルシウム血症は他の周産期病や感染症である乳房炎や子宮炎に1番始めに大きな影響を与える。

分娩前後の低カルシウム血症をいかに予防するかが成功のカギになります。

分娩後の泌乳

乳房を切除した乳牛を妊娠させて、分娩前後で飼料摂取量、ビタミン、血中遊離脂肪酸、免疫細胞の機能の変化を観察した興味深い研究があります。

通常、分娩後の泌乳開始により免疫細胞の機能低下が数週間続きますが、乳房を切除した乳牛は分娩後に泌乳をしないため、免疫細胞の機能低下はわずかでした。
泌乳によるカロリー、タンパク、ビタミンなどの不足や、食欲低下による血中脂肪酸やケトン体濃度の増加が、免疫を低下させる原因であると考えられます。

【まとめ】

ビタミンE、セレン

胎盤は分娩時の子宮と胎盤の結合を免疫細胞が分解(食作用)することで、子宮から剥がれ分娩後に胎盤が排泄されます。
胎盤停滞牛は正常牛との比較で分娩前からビタミンEやセレンの低下による免疫細胞の機能低下を認めています。
分娩前2~4週間のイーエスイー注射(アメリカの推奨量は20cc)が胎盤停滞のみならず乳房炎の予防に効果を示します。

最終更新日:2019年2月5日