乳房炎の話2

今回は、分娩直後の乳房炎の発症について簡単に説明します。
前乳期は体細胞数が20万以下であったはずの乳房が分娩時、あるいは分娩後すでに乳房炎を発症していることがあります。
分娩後バケットミルカーで搾乳したのなら搾乳時に細菌が感染したと考えられます。しかし、分娩してすぐ(初産牛も同様)、搾乳前なのに乳房炎になっている場合もあります。

果たして!いつ?細菌感染したのでしょうか?

結論から言うと、乾乳開始から3週間までと分娩前の2週間に感染があるようです。乾乳開始時期や分娩前は乳房が張っているため乳頭口は開きぎみになっており、寝ることで牛床の細菌が乳頭口から侵入しやすくなっています。
乾乳開始に細菌が乳頭口から侵入した場合は、通常、牛の免疫力で細菌は除去されます。
しかし、中には完全に除去されず、増殖を抑制された状態で乾乳期間中を生き延びる細菌もいます。
通常、分娩時は免疫力が弱まるため(ストレス、分娩時のホルモン、ビタミンA、ビタミンEやセレンの血中濃度低下)このように生き延びた細菌が増殖を始め、乳汁のブツや発熱などの症状があらわれることにより、分娩時あるいは分娩後に乳房炎が発症したように見えます。
DNAを利用したアメリカの研究では分娩後、搾乳時に細菌が感染したと考えられるような乳房炎の50%は、前述したような乾乳期からの細菌感染が原因であると報告されています。

対策として

  1. 乳頭口から侵入する原因菌の多くは牛床にいる細菌です。
    汚れた牛床では乳頭口を高いレベルの細菌にさらすことになります。牛床を常に乾燥した状態に保ち、クリーンサポートなどの石灰を撒いて牛床の細菌数を減らすことが大切です。
    乾乳牛だからといって、牛床が汚れた環境で飼育すると分娩後に痛い目に会うのです。
  2. 乾乳軟膏を注入する。但し、分娩前の感染には効果がありません。
  3. 乾乳開始と分娩前にドライカウ(写真参照)で乳頭口をシールド(被覆)することで、うまくいけば5日間は乳頭口からの細菌感染を防ぐことができます。特に、乾乳軟膏注入後にシールドすることで乾乳軟膏の漏出を防ぐことができます。
  4. 分娩前後の免疫力を保つために、乾乳開始時にEse注射、分娩前後のビタミンA、ビタミンE(4000mg)の投与を行いましょう。
    ビタミンA、Eを経口投与した場合、通常、ビタミンA、Eの血中レベルは投与後1日で、ピークに達し、3~4日目で元のレベルに戻ります。
    ①乾乳軟膏を注入する。
    ②ドライカウで乳頭をシールドする。
    ③Eseを注射する。
    この3つの作業を乾乳開始時に1セットとして行ってください。

最終更新日:2019年2月5日