はじめに
「リーキー・ガット」(訳:漏れやすい腸)という言葉は最近、乳牛の栄養学者の間で頻繁に使われています。これは乳牛の栄養管理などの問題から起こる炎症反応の直接の原因だといわれています。
腸管について
腸管内には餌の消化物だけではなく、様々な毒素や細菌などが存在します。主な役目は消化内容から栄養を吸収し、それ以外の侵入を防ぐという2つの機能があります。
「リーキー・ガット」って何?
正常な腸管の細胞はタイト・ジャンクションという構造で細胞同士が結合し、栄養以外の侵入を防いでいます。
リーキー・ガットは結合部位が損傷し細胞間に隙間がある状況です。その隙間から腸管内に存在する毒素の一つエンドトキシンが体内に取り込まれ炎症反応を起こし、多量の場合死亡することもあります。少量の場合は炎症反応を抑えるため大量のエネルギーを必要とされ、本来乳生産などになりえたエネルギーを大量に浪費することになります。
どんな時に起こる?
これまでの研究で主な原因は大腸アシドーシスといわれています。大腸アシドーシスが起こると腸が薄く痛みやすいため、リーキー・ガットになります。また要因として暑熱ストレスや採食量の激減により栄養とエネルギーを供給できず、消化管の機能が低下し、リーキー・ガットのリスクを高めます。
豚の研究で早期離乳に伴うストレスで長期間消化管の機能の低下でリスクを高めると報告があります。
対策は?
採食量を低下させない努力と大腸アシドーシスにならないよう穀物の増給に細心の注意が必要です。暑熱対策が不十分であれば、夏場のデンプンの供給量を低めにすることで発生リスクを下げることができます。
最後に
現在リーキー・ガットの状態を判断する確実な指標がなく、研究が続けられています。
もしリーキー・ガットが発生していたら家畜の健康、生産、飼料効率に大きな影響を与える問題なので、リーキー・ガットのリスク要因に注意し、軽減する飼養管理を心掛けてみてはいかがでしょうか。