「One Health(ワンヘルス)」について

One Healthとは

最近、One Healthという言葉を聞くことが増えました。

これは、2004年米国ニューヨーク州で開催された野生生物保護学会に由来しています。

「One Health」直訳すれば一つの健康という意味になりますが、ここでは「人の健康を守るためには動物や環境にも目を配って取り組む必要がある」という考え方を指してOne Healthと言われています。

薬剤耐性(AMR)の重要性

では、畜産業・水産業・農業等の分野ではOne Healthがどの様に関わってくるかについてお話ししたいと思います。

そこで話題に上がるのが「薬剤耐性(AMR)」です。

畜産業では感染症を治療(または予防や発育促進のため使用)する目的で抗菌薬(抗生物質)が用いられており、多くの国で畜産分野での抗菌薬使用量は人の医療での使用量よりも多いことが知られています。

抗菌薬を動物に投与すれば、その抗菌薬に耐性を持つ薬剤耐性菌が発生することが多くの事例で確認されていて、動物から人間への薬剤耐性菌伝播が起きた事もあります。

環境の汚染

更に、薬剤耐性菌や抗菌薬によって環境が汚染されることがあります。

例えば動物の排泄物に薬剤耐性菌が含まれていると、耐性菌による水系汚染や農産物の汚染につながる可能性があります。

畜産物や農産物が汚染されてしまえば、それらが食卓に上り、環境由来の薬剤耐性菌が人に伝播してしまうかもしれません。

まとめ

現在、薬剤耐性によって世界で年間約70万人が死亡、2050年には1,000万人が死亡すると言われています。

これは現在のがんによる死亡者数年間820万人を上回る数値です。

抗菌薬は、多くの人・動物の命を救ってきましたが、抗菌薬が効きにくい「薬剤耐性」を持った細菌が世界的に増えており大きな問題になっています。

薬剤耐性菌が増えると、これまで抗菌薬を使えば治っていた感染症でも治療が難しくなり、重症化や死に至る可能性が高まってしまいます。

そのため、我々畜産業に携わる者としてOne Healthというキーワードを胸に耐性菌を減らすべく抗菌薬を正しく使用していかなくてはなりません。

 

 

厚生労働省 薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2016-2020)より引用

最終更新日:2020年6月25日