人工授精師の1日

雄武家畜診療所での授精師の一日を山田悠未授精師が紹介します

山田悠未授精師 自己紹介

  • 東京都出身
  • 酪農学園大学獣医学群獣医保健看護学類卒業
  • 雄武家畜診療所に平成28年度配属
山田悠未授精師

1日の仕事の流れ

外回りに向けて精液の補充や備品の補充

出勤すると、精液の補充や授精業務で使う備品の補充など外回りの準備をします。
1人1つ自分のボンベがあり、自分のボンベの精液の管理は各自で行っています。
この一番大きなボンベに全ての精液が入っているので、少なくなってきたらここから補充します。
車の中は、個人の使い勝手が良いように用具など積み込まれています。

ボンベ
用具

発情牛 人工授精の受付

私たちの仕事は、農家さんが発情の牛を見つけて、人工授精の申し込みをするところから始まります。
1日当たり20~30件の受付があり、申込先の農家を1人10件前後、巡回します。

担当する農家の振り分け

受付が終わると、担当する農家を振り分けて農家を回り始め、お昼過ぎに1回事務所に戻り、午後にまた回ります。

訪問先の農家に着いたら直腸検査で牛の状態を確認

直腸検査で牛の状態を確認し、発情が確認できたら人工授精をします。

~発情していた場合~

液体ボンベから凍結した精液が入っているストローを取り出して温水で融解したのち、注入器にセットして人工的に授精します。
どの雄牛の精液を授精するかは、「乳器(おっぱい)が良い牛が良い」「乳量が出る牛が良い」など農家さんの要望に合わせて選びます。

~発情ではなかった場合~

発情ではなかった場合、発情がいまいちな時は「次回の発情に回しましょう」。発情っ気はあるがまだ早い場合や、もうそろそろ来そうだと感じたら「明日も見るようにしていいですか?」など、今の状態を説明し、今後の処置をなるべく具体的に農家さんに伝えます。
説明不足で不満が残らないようにしっかりと納得してもらえるような仕事をするように常に心がけています。

繁殖治療をした場合、繁殖台帳の記入

前回に見たときはどんな状態だったのか分かるので、直腸検査をする前に必ず繁殖台帳を確認します。
他にも、その牛で気づいたことがあれば備考欄に記入します。

人工授精簿にどの牛にどの精液を授精したのかを記録

“今日この牛にこの精液を授精しました”ということを文字で残すためのもので、日付、農家の名前、牛の番号、雄牛の精液の略号など、必要事項を記入します。

人工授精を実際に行っている様子

外からは見えないですが、中はこのようになっています。
牛の子宮頸管には4つのヒダがあり、このヒダを通すのが難しいです。

牛舎での仕事以外の事務仕事

授精証明書の発行や登録関係の業務も、人工授精師の仕事です。授精証明書は、この牛にこの雄牛の精液を授精しましたという証明をするものです。乳牛は雌が生まれると、ホルスタイン登録協会に血統登録します。この血統登録は、人間でいう戸籍です。

人工授精師の魅力

農家さんに直接感謝される

農家さんに直接「授精した牛とまったよ」「うちでの受胎率がいいよ」と声を掛けてもらう時が一番嬉しいです。
もちろん妊否は自分でも調べられるのですが、直接教えてもらえると本当に嬉しいです。
そして、その牛が無事分娩して子牛を見た時も本当に嬉しかったです。
また、雄牛の精液と言っても、いろんな会社からたくさんのものが出ています。
選ぶ際には会議を開いて決めるのですが、その時に私が使いたいと言った精液が選ばれて、さらに農家さんからその精液を授精してと指定してもらえると嬉しいです。

命を授ける仕事へのやりがい

受精卵移植の免許を取ったので、人工授精だけでなく受精卵移植も行えるようになり、より一層、牛の改良に関われるようになったので、とてもやりがいを感じています。これからもどんどん受精卵移植にチャレンジしたいです。

自分で集めたデータを次に活かせるのは面白いですし、これは技術職の特徴でもあると思います。また、そのデータのおかげで、経営の金目である繁殖管理で少しでも組合員の方の役に立てたなと感じた時もやりがいを感じます。

1番のやりがいは、命を授ける仕事であることです。人工授精師は命を授ける仕事であり、無事に生まれてきた時の感動は初めて分娩に立ち会った時から色あせないものです。

農家さんと関わっていると、知らないことをたくさん教えてもらえるので、日々勉強だなと感じています。

酪農家の経営に直接関わる

人工授精師は、酪農家の経営に直接関わる仕事です。牛と向き合う仕事ですが、それ以上に人と向き合う仕事かもしれません。

農家さんとのコミュニケーションが本当に大切だと心から感じています。

人工授精師は基本的に外の仕事がメインなので、体を動かしながら仕事をすることができるのも魅力の一つです。

研修会・勉強会

勉強会や出張もあります。

繁殖研修会では、と畜前の牛の直腸検査を行い、あとで実際の生殖器を見て答え合わせをできるため、とても勉強になります。

研修会や勉強会では、各診療所の同期と、お互いの近況報告などもできて楽しいです。

《 NOSAIオホーツクの授精師の人数 》

43名(うち女性 10名)※平成31年4月1日現在