北見家畜診療所での獣医師の一日を平林獣医師が紹介します
平林獣医師 自己紹介
- 埼玉県に生まれる
- 麻生大学入学 吹奏楽部所属 内科学第3研究室所属
- 斜網NOSAI女満別家畜診療所に就職(現NOSAIオホーツク女満別家畜診療所)
- 同診療所授精師と結婚
- 北見家畜診療所へ転勤現在1男1女の母親をしながら獣医師として働く

1日の仕事の流れ
前日培養しておいた乳汁の細菌検査の判定
毎朝50検体くらい判定します。
その他、夜間にあった診療のカルテを書いたり、掃除をしたり、各々が一日の仕事のスタートを円滑に進められるように準備します。

電話応対(診療受付)
受付した診療内容は奥に写っているホワイトボードに記入します。

往診先の割り振り
ホワイトボードを見て、往診先を均等に振り分けます。


振り分けられた往診先を各自確認中
前日診ている牛で気になることがあれば、申し送りをします。

治療薬の準備
ここは薬室です。割り振りが決まったら、その日使用する薬の補充、薬治する予定の薬を準備します。

往診へ出発!
NOSAIオホーツクの車はサクシードです。

往診車の中はこんな感じ
薬や器具は個人の使い勝手がいいように積み込まれています。だいぶん個人差があります。

診療車からの風景
往診の途中には北海道ならではの景色がたくさんみられます。
キタキツネはどこにでもいます。珍しくもなんともありません。

北海道ならではの道路標識
冬、雪が積もるとどこまでが道路かわからなくなるので、このような注意を促すポールが立っています。
山の方へ行くと、鹿もいます。いきなり飛び出してきて、ヒヤリとすることも多いです。



この日の診療
- 乳房炎(×3件)
- 第四胃変位(×1件)
- 子牛の肺炎(×2件)
- 産後起立不能症(×1件)
- 蹄病治療
- 繁殖検診
第四胃変位の牛は診療所に運び、午後から手術です。
「よんぺんですね。手術します。低Ca血症の疑いもあるので、先に点滴していきます。手術室に牛を運ぶので、トラックの手配をしておきますね。」
農家さんとこんなやりとりをし、次の診療へ向かいます。
NOSAIオホーツクでは、繁殖検診を積極的に行い、生産力の向上に努めています。



診療所へ戻ったら手術です
北見家畜診療所には2台の手術台があります。
多い日は6~7頭ぐらいの手術をします。

血液検査
外部の検査機関へ発注、または、診療所で検査

乳汁細菌検査

糞便検査
一通りの仕事を終え、往診先で採取した検体の検査をします。朝一番の仕事で触れましたが、乳汁検査は翌朝、菌の判定をします。

カルテの入力
最後にカルテをパソコンに入力して一日の仕事は終わりです。NOSAIオホーツクではカルテの内容を印刷して往診に持って行っていますが、他の組合ではタブレットを採用しているところもあるそうです。一日の流れは以上です。

※夜間は当番獣医師が急患に対応。
夜間当番は月に7~8回あり、一晩の往診は1件あるかないかです。最近は農家さんも対処してくれます。難産に当たるか当たらないかは運です。
診療所の仲間たち



現在北見診療所には19名の獣医師が在籍しています。 その日の診療の情報交換、はたまた飲み会の後日談(?)。診療所はいつもにぎやかです。
よくある質問
牛に触ったことがないんだけど大丈夫?
心配無用!就職してからみっちり学べます。
しばらくの間は、往診随行で色々学びます。組合内部では、若手獣医師向け講習会・症例検討会等が盛んに行われています。また、組合独自の獣医師育成プログラムなど、新人獣医師の成長を積極的にサポートしています。新規採用獣医師を対象とした、北海道NOSAI研修所で行われる研修会も受講します。
大学を卒業してもまた勉強ですね。



産業動物獣医師の魅力は?
日本の農業を支える、「ありがとう」の一言が嬉しい、牛が元気になると嬉しい、人との触れ合いが楽しい、体を動かすのが楽しい
産業動物獣医師をしていて良かったことは、日本の農業を支えているというプライドが持てること。やはり自分が治療した牛が元気になると嬉しいです。牛は元気になってもありがとうと言ってくれないのですが、農家さんがありがとうと言ってくれると、やった甲斐があったと思えます。農家さんともたくさんお話しできます。牛のことだけではありません。農家さんは人生の先輩です。子育て相談にものってくれます。

産業動物獣医師の大変なところは?(in北海道)
寒い!、治療だけでなく予防指導も、体力勝負!、勉強することが山積み!、冬道怖い
産業動物獣医師が大変だなと思うところは、体力勝負なところでしょうか。何日か休んだあと、仕事をすると必ず筋肉痛になります。獣医は動物にとって嫌なことをするので、牛も暴れます。何百キロの牛と戦うのは本当に体力がいります。動くのは好きですが、過度な運動はやはり辛いです。
北海道特有の問題は、冬が寒いこと。道内でも場所によって冬の寒さは違います。内陸の北見は本当に寒いです。
そして、北海道の冬道は本当に危険です。スケートリンクの上を車で走っている状態になることもあります。でもスピードを出さなければ、大丈夫です。

休日の過ごし方は?
北海道は四季折々の魅力がいっぱい。写真、スキー、ゴルフ、釣り、登山、野鳥の会、同じ趣味の人が集まってワイワイやっています。
私は若い頃、仕事帰りにみんなでスノーボードに行っていました。規模は違いますが、各市町村1個はスキー場があります。
仕事の後、流氷に覆われたオホーツク海へ通い、スキューバダイビングの免許を取ったという強者もいますよ。ちなみに、今回使った動物や風景の写真は、カメラを趣味にしている数名の獣医師から提供してもらいました。
みなさん、NOSAIオホーツクで北海道の産業動物獣医師としての生活をスタートしてみませんか。どんどん来てください。待ってます。



