1.補償対象施設等の種類
補償対象の園芸施設等は、特定園芸施設、附帯施設、施設内農作物、特定園芸施設撤去費用および設復旧費用です。
特定園芸施設
農作物を栽培するためのプラスチックハウス(パイプ、鉄骨)、ガラス温室、雨よけ施設および的ネットハウスなどです。※ 多目的ネットハウスは、施設全体が防風、防ひょう、防虫、防鳥の目的のネットで被覆され、施設構造は、骨格の主要部分の隅柱、周囲柱、中吊り柱が鋼材、アルミまたはコンクリートにより造られ、骨格部分が鋼線により接続されているものです。
特定園芸施設の内部で農作物を栽培するために用いる暖房機、換気扇、カーテン装置などです。
施設内農作物
特定園芸施設の内部で栽培される農作物で、ホウレン草、トマト、メロン、花などです(育苗中の農作物を除く。)。
特定園芸施設撤去費用
共済事故により特定園芸施設(被覆材を除く。)の解体や処分を行う場合の費用です。
園芸施設復旧費用
特定園芸施設(被覆材を除く。)または附帯施設を復旧する際の費用(再建築(取得)価額)のうち、時価補償額を除く費用のことです( 耐用年数経過後は復旧する際の費用の75%のうち時価補償額を除く費用となります。)。
2.加入申込と共済関係(契約)の成立
所有(または管理)する特定園芸施設について、そのすべてについて園芸施設共済加入申込書に必要事項を記入・押印して組合に加入の申込みを行い、組合がその申込みを承諾したときに共済関係(契約)が成立します。
ただし、次のア~ウに該当する特定園芸施設及びエ~キに該当するものは、加入することができませんので、ご留意願います。
イ.損害額の適正・円滑な認定が困難であること。
ウ.通常の管理が行われず、または行われないおそれがあること。
エ.被覆物を移動または除去しなければ内部で通常の栽培作業を行うことができない施設園芸用施設(トンネル等)
オ.設置面積1アール当りの再建築価額が3万円未満の施設園芸用施設
カ.気象上の原因により農作物の生育が阻害されることを防止するための施設園芸用施設のうち、雨よけ施設および多目的ネットハウス以外の施設
キ.4で選択した小損害不塡補の基準金額が10万円または20万円である場合、共済価額が選択した小損害不塡補の金額以下の施設また、加入にあたっては、特定園芸施設に併せて、附帯施設、施設内農作物、撤去費用、復旧費用も加入することができます。
なお、施設内農作物の加入に際しては、一定の条件を満たせば、病虫害を補償の対象としない方式(病虫害事故除外方式)を選択することもできます。その場合、病虫害を事故から除外するのに見合う分の共済掛金が割引されます。
3.共済関係の解除
次の場合、共済関係が解除される場合がありますので、留意願います。
イ.共済金の給付を行わせることを目的として損害を生じさせ、または生じさせようとした場合
ウ.共済金の給付の請求について詐欺を行い、または行おうとした場合
エ.その他、組合の組合員に対する信頼を損ない、当該共済関係の存続を困難とする重大な事由が生じた場合
※共済関係が解除された場合は、組合は解除された時までに発生した共済事故による損害を補塡する責任を負いません。
※既に納入された共済掛金および賦課金は返還できませんので、留意願います。
※特定園芸施設と施設内農作物を共済目的とする場合、共済関係の成立後に農業経営収入保険に加入するため、共済関係のうち施設内農作物に係る部分を解除する場合は、納入済の共済掛金および賦課金のうち、施設内農作物に係る未経過分の共済掛金及び賦課金を日割りで計算した額を返還します。
4.小損害不塡補(共済金の支払条件)
共済金は、特定園芸施設等毎の損害額が小損害不塡補の基準を超える場合に支払われます。基準は加入の際に次の3点から選択していただきます。また、イ、ウを選択した場合、共済掛金が割引されます。
イ.10万円
ウ.20万円
※選択した基準は共済関係が成立したすべての棟に一律適用され、棟毎には選択できません。
5.共済事故(共済金の支払対象となる事故)
風水害、ひょう害、雪害、その他気象上の原因(地震、噴火を含む。)による災害、火災、破裂、爆発、
航空機の墜落及び接触等、車両の衝突および接触等、病虫害(病虫害事故除外方式に加入した場合は対象とはなりません。)、鳥獣害が共済事故となります。
6.共済責任期間(補償期間)
共済責任期間(補償期間)は、共済掛金払込みの翌日から1年間となります。 ただし、次の場合は、1か月以上1年未満とすることができます。
イ.特定園芸施設の設置が周年でない場合
7.共済金額(契約金額)
共済金額(契約金額)は、共済金の支払最高限度額をいい、次のように算定します。
※共済価額は、特定園芸施設と附帯施設については共済責任期間開始時における価額(時価額)を基礎とし、施設内農作物については施設内農作物の生産費を勘案して設定します。
また、特定園芸施設撤去費用の価額については、撤去費用に係る㎡当たり費用に特定園芸施設の設置面積を乗じて設定し、園芸施設復旧費用の価額については、特定園芸施設の再建築価額及び附帯施設の再取得価額からそれぞれの共済責任開始時における価額(時価額)を差し引いて設定します。
※付保割合は、4~8割の範囲内で加入者が申し出た割合です。
8.共済掛金
特定園芸施設の種類ごと、特定園芸施設(附帯施設を含む。)、施設内農作物、特定園芸施設撤去費用及び園芸施設復旧費用ごと、更に被覆期間および未被覆期間ごとに次のように算定します。
※被覆期間割合(未被覆期間割合)=被覆期間(未被覆期間)(月数)/共済責任期間(月数)。ただし、施設内農作物の共済掛金は被覆期間割合のみで算出します。
※被覆期間を変更し掛金を追加納入する場合は、異動通知書が組合に到達してから2週間以内に掛金を納入して下さい。また、掛金の払戻しが発生した場合は速やかに払戻し致します。
※共済掛金率は、農林水産大臣の定める地域ごと、特定園芸施設の種類ごと、特定園芸施設(附帯施設を含む。)と施設内農作物、特定園芸施設撤去費用及び園芸施設復旧費用ごと、更に被覆期間および未被覆期間ごとに、農林水産大臣が過去20ヵ年の被害率を基礎に定め、3年ごとに改定されます。
なお、共済掛金率については、農林水産大臣が定めた率を組合員ごとの過去20か年の損害率等を加味して細分化することとしています(危険段階別共済掛金率といいます。)。また、組合員ごとに適用する危険段階は、直近20年分の損害率を近年ほど高いウェイトを持たせて加重平均し、毎年見直します。
※国庫負担割合は、50%となっています(復旧費用については国庫負担がありません。)。
※国庫負担割合は、年度ごとに共済関係の共済金額の合計額が1億6千万円となる部分まで適用され、1億6千万円を超える部分には適用されません。
9.被害発生の通知義務
補償対象施設等に被害が発生したときは、ハウスを修復する前に、直ちに組合へ被害申告して下さい。 組合では被害申告に基づいて必要な調査をします。
被害発生の通知を怠り、勝手に修復した場合には共済金をお支払いできませんので、ご留意願います。
10.共済金の支払額
1棟ごとに、損害額が4で選択していただいた小損害不塡補の基準を超える場合に、次の算式による共済金が支払われます。
の被害額 + 付帯施設
の被害額 + 施設内農作物
の被害額 + 特定園芸施設
撤去費用額 + 園芸施設
復旧費用額 – 残存物価額 + 賠償金等
※特定園芸施設撤去費用は、1棟100万円を超える場合、または被覆物を除く被害割合が、50%(ガラス室にあっては35%)を超える場合に支払われます。
※特定園芸施設撤去費用額は、全損の場合は単位当たり撤去費用額に設置面積を乗じて得た金額、分損の場合は単位当たり撤去費用額に設置面積を乗じて得た金額に特定園芸施設本体の損害割合を乗じて得た額と撤去費用領収書等の金額のうちいずれか小さい額となります。
※園芸復旧費用額は、全損の場合は再建築価額(附帯施設の場合は再取得価額)に時価現有率に応じた率を乗じ、そこから再建築価額(再取得価額)に時価現有率を乗じて差し引いて得た金額、分損の場合は再建築価額(附帯施設の場合は再取得価額)に時価現有率に応じた率を乗じて得た金額に特定園芸施設本体(附帯施設)の損害割合を乗じて得た額と復旧費用領収書等の金額から特定園芸施設本体(附帯施設)の被害額を差し引いた金額のうちいずれか小さい額となります。
※特定園芸施設および附帯施設の時価補償の部分ならびに施設内農作物に係る共済金は事故月の翌月に支払われますが、特定園芸施設撤去費用及び園芸施設復旧費用に係る共済金は、被害発生の場合に復旧計画書を組合に提出し、撤去または復旧が完了したことを組合が確認、業者から領収書を入手後に支払われます。
なお、農業共済事業は、行政庁の指導・監督のもと、組合・連合会・国の3段階による責任分担を行って広く危険分散を図るなど、共済金の確実な支払ができる仕組みを採っていますが、組合の財務状況によって、お支払いする共済金の金額が削減されることがありますので、ご理解願います。
※共済金の削減が認められているのは、組合の責任分担部分のみであり、連合会・国には認められていません。 これは、組合については危険分散機能が小さいため、手持財源を超えて共済金を払い続けることにより事業不足金が累積し、事業運営の継続が困難となる事態を防ぐため認められている措置ですので、ご理解願います。
また、共済金の削減は、直近年において、加入者(被災農家)の方々に多額の共済金を支払い続け、組合の手持財源に不足を生じるようになった結果でもあることを、ご理解願います。
なお、やむを得ず共済金の削減を行わざるを得ない場合でも、その割合は被災農家の再生産に支障が出るほどのものではないと考えられます。
11.共済金が支払えない場合
共済責任期間中に発生した共済事故による損害であっても、次のような場合には共済金の全部又は一部をお支払いできないことがありますので、ご留意願います。
・加入者が通常すべき管理その他損害防止の義務を怠ったとき。
・加入者が損害防止の指示に従わなかったとき。
・加入者が事故発生通知又は損害通知の義務を怠ったとき、または悪意もしくは重大な過失によって不実の通知をしたとき。
・加入者が損害発生の通知を行うときに正当な理由がなく、被害の状況が明らかとなる事項に関する書類の提出を拒み、その書類に故意に不実のことを表示しまたはその書類を偽造もしくは変造する等により不実の通知をしたとき。
・加入者が次の異動等の事実が発生したことについての通知を怠り、または悪意もしくは重大な過失によって不実の通知をしたとき。
イ.特定園芸施設等の構造もしくは材質を変更したとき。
ウ.特定園芸施設等が共済事故以外の事由により破損もしくは滅失したとき。
エ.特定園芸施設等を他の保険もしくは共済に付したとき。
オ.特定園芸施設の被覆期間を変更したとき。
カ.施設内農作物の種類もしくは栽培期間を変更したとき。
キ.施設内農作物が発芽したときまたは施設内農作物を移植したとき。
・加入者が加入申込みの際、悪意または重大な過失によって次に掲げる事項等を通知せず、または不実の通知をしたとき。
イ.附帯施設の種類、経過年数
ウ.施設内農作物の種類、栽培面積、栽培期間
・加入者が正当な理由がないのに、特定園芸施設の被覆期間の変更の異動通知に伴う追加共済掛金の払込みを2週間以内に行わなかったとき。