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2008/04/13

牛の風邪とワクチンについて

牛の風邪とワクチンについて

紋別事業所 紙 谷 建 志 獣医師
 

今年も雪が降り積もる寒い季節となりました。広報を書くようにとの依頼があり、何を書こうかと思案している最中に風邪をひいてしまいました。数週間前にインフルエンザウイルスのワクチン接種をしていたので、その手の免疫力(抗体)は上がっているものと思い、病院へ行き注射一本で今は小康状態を保っています。ただ、一つ気になったのが同じ日付・同じ病気で去年も同じ病院に行き同じ院長に診てもらったということでした。それは余談として、今回は秋号に続き第2弾として、牛の風邪とワクチンについて話をしたいと思います。

生まれて間もない子牛は抵抗力も弱くストレスに曝された状態だとすぐに体調を崩しやすいですよね。自分で抗体を作れるようになるには生後40日目からと言われています。それまで、移行抗体がたっぷり入った母牛の初乳を生まれたての子牛に与えることで、病気に対する抵抗力を高めたいところですが・・・・・・。しかしこの移行抗体、生後1ヶ月令を過ぎた頃から低下し、3ヶ月目には消失すると言うのです。よって、移行抗体の低下が始まる1ヶ月令からは自分自身の体力と抵抗力で身を守らなければいけなくなります。一ヶ月にも満たないうちに病気に罹ることも多々あるでしょうが、特に一ヶ月前後から風邪に罹りやすくなるのではないでしょうか。

そこで、助人として活躍するのがワクチンです。そのワクチンには子牛に風邪を引き起こす主要なウイルスが、毒性が弱まった状態で含まれています。肉牛を例にとると、今までは概ね牛の出荷前(約8~9ヶ月令)にワクチンを接種する場合が多かったように思います。それは市場の際にうけるであろう、多々なストレスから来る感染予防と、導入後の肺炎発生予防が目的で行われています。しかし、移行抗体の低下や、あるいはそれに伴い1ヶ月令頃から抵抗力が低下することを加味すると、もう少し若齢での接種が望ましいと思います。

これらのことから、1ヶ月令頃の子牛に接種することは望ましいと言えます。と、一言で言いましたが、ワクチン接種はその牛の状態、地域の事情等があり一筋縄ではいきません。例えば、5種混合生ワクチンはウイルス性の風邪には有効ですが、細菌性であればその効果は期待できません。

その場合は他のワクチンを使用しないといけなくなります。

また、寄生虫感染している子牛に予防接種してもその効果はありませんので、先に寄生虫を除去しなくてはなりません。これらは牛側の要因のほんの一例ですが、他にも様々な要素・要因が絡んでいるため投与時期は慎重に行う必要がありますので、その場合は獣医にお尋ねください。

     

それでは、いつ?

 

具体的に例を挙げましょう。兵庫では以前8ヶ月令から3ヶ月令に、そして今では約1ヶ月令の健康な子牛に5種混合生ワクチンを接種しています。そうすることで以下のデーターが得られました。

ワクチン未接種牛は67頭中47頭(70.1%)の肺炎の発生を認めたものの、接種牛では61頭中24頭(39.3%)の発生頭数だった。また、そのうち未接種牛では59.6%が再発したのに対し、接種牛では12.5%しか再発しなかった。

更にこんなデーターも得られました。

肺炎を発生した子牛がその後順調な発育をしていたかどうか追跡調査しました。出荷時(約8ヶ月)の体重を測定したところ、肺炎発症牛は平均で雌202kg・去勢216kgでしたが、肺炎に罹らなかった牛は平均で雌210kg・去勢240kgであり、肺炎に感染したことで増体割合が4~10%も悪化した。

また、その文献ではこう結論づけられていました。

①初乳を飲ませても、免疫を獲得していない牛がいる

②充分に免疫を獲得した子牛でも、1~2ヶ月令で免疫力は低下し感染しやすい状態にある

これらのことは、

①ワクチンを接種することは完全とまではいかないまでも、かなりの高い確率でそのワクチンの対象となる疾病の発生を防ぐことができる

②一度風邪を発生するとその後の発育速度に悪影響を及ぼす、ということがいえると思います。

③母牛からの移行抗体が存在する状態でワクチン接種しても、その効果が期待できる

④ただ、一回の接種で抗体が上がらない場合もあり、3ヶ月令でもう一度接種することが有益である

 

 

 
     
   

参考文献

兵庫県農業共済組合連合会

家畜診療所情報より引用

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