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技術情報

2008/04/13

子牛を下痢から守ろう

子牛を下痢から守ろう

紋別事業所 山 﨑 智 之 獣医師

■はじめに

 

子牛、胎児共済が始まって2年目を迎えますが、残念ながら、今年度の子牛、胎児の死廃事故頭数は、表に示すように、大幅に去年を上回っています。今回は、新生子牛が罹る病気の中でも、被害率の高い下痢症について、簡単に解説したいと思います。

     

■下痢を予防するために

1.

初乳を十分に飲ませましょう

 

初乳とは・・・

初乳は生まれたばかりの子牛に必要なタンパク質、脂肪、ビタミンおよびミネラルなどの栄養素だけでなく、免疫グロブリンを豊富に含んでいます。

免疫グロブリンは、動物の体内で病原体と結合し、それらによる感染症を防ぐ働きをするタンパク質です。

子牛が生まれたら、ただちに初乳を与えてください。初乳を早く給与することは、病原体に対する抵抗力をつけ、健康な子牛を作るために重要です。

ワクチンによる子牛の下痢予防は、分娩前の妊娠母牛に、ワクチンを注射し、初乳を介して、その免疫グロブリンを子牛に与える方法です。現在、販売されているワクチンとその対応病原体は以下の通りです。

     

ワクチン名

対応病原体

牛用大腸菌ワクチン「ゼンノウ」

「イモコリボブ」

病原性大腸菌

牛サルモネラ2価ワクチン

「北研」

サルモネラ・ティフィムリウム

サルモネラ・ダブリン

”京都微研”牛下痢5種混合不活性化ワクチン

ロタウイルス・コロナウイルス、病原性大腸菌

 

2.

病原体の感染を予防しましょう

 

○牛・人・物などによる持込を防ぎましょう→消毒・清掃

○密飼による伝染を防ぎましょう→個別飼育

○敷料を清潔にしましょう

3.

ストレスから守りましょう

 

○気象条件の変化に気をつけましょう(寒冷・暑熱ストレス対策)

○密飼によるストレスから守りましょう(個別飼育)

4.

給与飼料をチェックしましょう

 

○飼料の変質・変敗に注意しましょう(カビなど)

○乳房炎及び異常乳の給与は避けましょう

5.

こまめに便を観察しましょう

 

○下痢の早期発見・早期治療を心掛けましょう

     
 

■下痢の種類

 

子牛の下痢は、病原性の特に強い細菌・ウイルスによる感染性下痢だけではなく、消化不良性下痢などの非感染性下痢も発生します。

子牛の下痢の主な症状は便に現れます。便の状態を観察しましょう。

     

【1】感染症下痢

病名

ロタ

ウイルス病

コロナ

ウイルス病

大腸菌症

早発性

大腸菌症

コクシジウム症

クリプトス

ポリジウム

サルモネラ症

便性

水様

水様

泥状

~水様

水様

泥状

~水様

水様

泥状

~水様

色調

黄白色

乳白色

灰白

~黄白色

黄白色

 

黒色

~赤褐色

淡黄色

黄灰白色

血液

×

×

×

臭い

悪臭

腐敗臭

生臭い

腐敗臭

微熱

微熱

微熱

微熱

発症時期

2週齢

以内

1週齢程度

2週齢

以内

1~3日齢

3週齢

以降

2週齢

以内

4週齢

以内

特徴

混合感染

成牛でも発症

冬季に多発

混合感染

甚急性

経過

粘血便

混合感染

成牛でも発症

届出伝染病

 

【2】非感染症下痢

分   類

原      因

消化不良性下痢症

食餌性(不消化便)

不規則給餌・給水による腸蠕動の異常。

脂肪性(白色泥状便)

脂肪消化酵素、胆汁分泌不足、細菌(特に大腸菌)の異常繁殖。

腐敗性(腐敗臭・暗色泥状便)

過剰あるいは不消化蛋白質の摂取、消化酵素の分泌障害。

発酵性(酸臭・淡褐色便泡沫を含む)

過剰あるいは不消化炭水化物の摂取、消化酵素分泌障害。(消化不良のため、生じた発酵産物の刺激による腸蠕動亢進と浸透圧上昇が、吸収不全を引き起こす。)

胃(潰瘍)性下痢症

(不消化便)

第一胃~四胃の機能的及び器質的障害(ルーメンアシドーシス、胃粘膜糜爛、潰瘍、便秘、変位、捻転)による内容物の通過時間の変化。

神経性下痢(不消化便)

環境及び飼養管理の不適正から来るストレスが迷走神経を刺激し、腸蠕動亢進や消化酵素分泌異常を引き起こす。

 

脱水程度

皮膚つまみ

テスト

治療法

脱水

臨  床  症  状

軽度

 

5秒以下

 

経口補液

 

5%以下

変化なし

6%

起立可能、吸乳反射あり

中度

6秒

経口補液+

静脈内補液

8%

眼球陥没、介助にて起立可能

吸乳反射弱い

重度

 

7秒以上

 

静脈内補液

 

10~12%

四肢と皮膚の冷感、起立不能

12~15%

死期切迫、虚脱状態

 

皮膚つまみテスト:頚部の皮膚をつまんで90度ねじり、手を離してから元の状態に戻るまでの時間を見るてすと。

     

■下痢を見つけたら

 

下痢の発生初期で、元気および哺乳欲があり、脱水程度の軽い子牛や経口摂取が可能な子牛に対しては、牛乳や人工乳の給与を中止し、経口補液で水分と電解質を補い脱水予防を行いましょう。

元気消失や哺乳欲の減退が認められる脱水中等度の場合や四肢冷感や皮温低下があり、起立不能や虚脱状態に陥っている脱水重度の場合は、静脈内注射による補液が必要です。

     

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